こんにちは、山崎です。
整体を受けに来るお客さんの中でも特に訴えの多い症状が「腰痛」だと思います。
ですが、ほとんどの整体師やセラピストはクライアントの腰痛に対して、施術によってなんとかしようとしている人が多いというのが現状かと思います。
そのような、その場限りだけの関わりでは、たとえそのときに痛みが緩和されたとしても、結局元の身体へと戻ってしまいます。
痛みが出たら整体を受けるだけの繰り返しになってしまい、クライアントを二度と痛みの出ない根本改善へと導くことはできません。
今回は、そうした単発の関わりではなく、クライアントの腰痛を根本的に改善するため考え方と具体的方法をお伝えしていきます。
それは、クライアント自身にスポットライトが当たり理想の未来に向かっていけるためのストーリーを作るということです。
クライアント自身が自らの足で成長していけるような関わりを作ることで、他の整体院では真似のできない唯一無二のサービスを提供することができるようになります。
前半では、クライアントの腰痛改善へと導くための大きな考え方や枠組みをお伝えし、後半では、具体的な手順やポイントをお伝えしていきます。
目次
1.腰痛とストーリー
1-1 腰痛をストーリーとして考える
これからお伝えしていく一番のキーワードになるのが「ストーリー」です。
腰痛のクライアントに対して、どうすればこの腰痛を取り除くことができるのか。
という整体師やセラピスト目線で考えるのではなく、クライアント自身が、慢性腰痛という巨大な難関(最大の敵)を乗り越えるには、どういったストーリーが必要か。
ということをこれから一緒に考えていきましょう。
どんな映画や漫画でも、なんのイベントもない、なんのピンチも訪れないようなストーリー展開では、観ている方はつまらなく、何も感情が動きません。
ブログなどの情報発信や、実際の現場でもやってしまいがちなのが、「腰痛を直す方法」といったコンテンツだけを提供してしまうことです。
ただコンテンツだけ提供しても、実はクライアントの心は動かず、やろうという気持ちになりません。
クライアント自身も、腰痛を改善するにおいて、多少の覚悟はしているはずです。
整体師・セラピスト自身が、クライアントの現状から理想未来に導くための難関を乗り越えていくためのストーリー展開をイメージさせてあげることが、クライアントが希望をもってやってみようと整体院にも足を運んでくれるようになります。
まずは、一人をイメージして、ストーリーの全体像から考える必要があります。
1-2 1日 or 90日
ストーリー全体を考える例として、90日(3ヶ月)くらいで、腰痛が良くなっていくストーリーを考えてみてください。
その90日の全体があった上で、整体院に来るのは、その90日のうち何日必要なのか、1日をどう過ごすのかということを考えていきます。
大きな全体像があると、例えば45日経過時点で、思い描いていたストーリーと照らし合わせて、どこまで良くなっているのか、またはちょっと遅れているのかなど、その人に合わせて修正していくことも可能です。
たとえ良くなってなかったとしても、クライアント自身も全体のストーリーの中での現状が把握できるので不安は軽減されます。
1日、1日、その場限りの施術をするのではなく、90日という全体があっての1日を描いてみましょう。
2.コンテンツとコンテクスト
2-1 コンテンツ
腰痛で悩む人をなんとかしてあげる手法(施術やエクササイズ)をコンテンツと呼びます。
昨今のYou Tubeなどでもわかるように、情報化時代では、施術や手法はインターネット上でも誰でも知ることができるように、限りなく0円に近づいています。
昔は資格を持っているだけで価値があり、それだけでもお客さんがお店に足を運んでくれた時代もありました。
ですが今の時代は、どんな資格をもっているとか、○○整体とか、○○エクササイズといったコンテンツの価値はほぼ0円といっても過言ではありません。
2-2 コンテクスト
一方、コンテクストというのは、「文脈」という意味合いです。
整体師やセラピストに例えるなら、
・あなたは、痛みを抱えるクライアントを救ってあげる役割があり
・手法を学び、試行錯誤しながら進化を遂げて成果をだせるようになって
・クライアントから「感謝の声」をもらえるようになり
・紹介してくれる人でビジネスがまわるので経済的にも裕福になり
・第二の自分を作り上げる人生を歩むメンターとして活躍する
こういったコンテクスト(文脈)を提示されると、整体師やセラピストとしてこんな人生を歩みたいと心が動くと思います。
このように、クライアントにも、今はここらへんですよ。あなたが成功する(腰痛を直す)にはここに行くんですよ。
というサクセスストーリーを描いてあげる必要があります。
こうしたサクセスストーリー=コンテクストに価値があるのであって、コンテンツはそのストーリーに必要な一つの要素です。
なので、コンテンツだけにこだわるのではなく、コンテクストの中のコンテンツと位置づけることで魅力的なストーリーになっていきます。
2-3 人は感情で「購買」する
「人は感情で物を買う」と聞いたことがあると思います。決して論理的に購買しているわけではない、この心理を知って置く必要があります。
つまり、「感情」にスポットをあてて、クライアントが、自分の未来が変わりそう。とか、自分の不安が解消されそう。というように、いかにクライアントの心を動かすかというところが重要になります。
コンテンツにこだわってしまうと、大学教授のように授業を聞いても面白くない、関係のない人になってしまうので、「コンテクスト+コンテンツ」を販売する必要があります。
2-4 スポットライトを当てる
もう1つ整体師・セラピストとして活躍する上で重要な点として、自分にスポットライトを当てるのではなく、クライアントにスポットライトを当てる癖をつける。ということです。
あくまで、主役(勇者)はクライアントです。
あなたは、巨大な難関を乗り越えるクライアント(勇者)にとって賢者(メンター)の役割を果たす必要があります。
信頼関係のできていない段階では自分の意見に耳を傾けてくれることはありません。
私(整体師・セラピスト)が言いたいことではなく、あなた(クライアント)がこういう未来を獲得できますよ。
とか、これを使った人はこうなりましたよ。といった相手にフォーカスした表現を心がけるのが良いと思います。
以上、まずはクライアントを改善へと導くための関わり方や考え方など大きな枠をお伝えしました。
これから後半では、より具体的なステップに迫っていきたいと思います。
3.腰痛改善のステップ
3-1 全体像を構築する
1章、2章でお伝えしたことをもとに、全体像を考えてみてください。
1)まずはゴール設定です。
90日後、そのクライアントの身体はどういうふうに変化していて、今の生活からどのように変化していて、感情はどのようになっているかを考えてみてください。
2)次に、そのゴールに行くためにはどういうステップにすればよいかを考えます。
例えば、初めてお店に来た人は、痛みもありますが、心理的に不安を抱えています。
痛みとは不快な感覚と情動なので、不安が強いとより痛みも増幅される恐れがあります。
なので、まずはじめに解消すべきなのは不安な気持ちだったりします。
そのためにはまず、即効性の高い施術などをして身体が楽になる体験をしてもらうのがいいかもしれません。
また、いつ痛みが起こるか常に不安だったり、このまま治らないんじゃないかという気持ちもあるかもしれません。
そういう人には、痛みそのものの仕組みや知識をしっかりと伝えるだけでも安心の材料になるかもしれません。
このように、その人やその時の状況に合わせた問題や不安などを解消するには、というふうに考えれば、自ずとステップも作っていけます。
ここから、僕が注意している点について、もう少し具体に入っていきます。
3-2 腰痛改善の3ステップ
まず、そのクライアントと出会ったら、3つのステップを踏んで「理想の未来」を創造していきます。
1,観察する(立ち位置の把握)
2,共感する(痛み、苦しみ)
3,希望を描く(イメージ)
こちらの3つを解説していきます。
3-2-1 観察
まずは、そのクライアントの身体がどういう状態なのか、どういう状況なのか。
あらゆる視点からその人の今の立ち位置を把握していきます。ポイントは6つあります。
1,ストレス度を見る
2,肉体的ストレス、心理的ストレスの割合
3,主観的な痛みの度合い(10段階)のヒアリング
4,無意識反射が起こるポイント
5,姿勢、体型、筋膜の突っ張り、骨の出っ張り、筋肉の緊張、心理的な緊張、肌、爪など「見た目」から観察できることからストレス度や自律神経の働きを観察する
6, 薬の使用、家庭・職場などの環境、運動や休息の環境、人間関係、便、血圧や脈拍など、見た目から観察できないことをヒアリングしてストレス度や自律神経の働きを観察する
こうした切り口から、相手の状況を把握していきます。
3-2-2 共感
クライアントの立場になって考えてみると、人は辛さをわかってくれる人と関わりたいものです。
ですので、整体師やセラピストは、正論をいきなり押し付けるのではなく、その人がどこで不安なのか、どこで悩んでいるのか、何を失いたくないのかなどをちゃんと見てあげる必要があります。
整体師やセラピストの役割は、クライアントの苦痛に共感し、痛みを分かち合い、かつ理想の未来へと導いて上げるということです。
そのためには、自分自身が経験を積まないといけないませんし、エネルギーを与える分、自分のエネルギーを高めておく必要があります。
そして、この苦しみや辛さをわかってくれる人がいるというだけでも、「喜び」や「安心」という快情動が発露するので、自律神経は副交感神経へと傾きます。
この人と一緒にいたいという気持ちになってもらうのも、クライアントの身体を変えていくスキルです。
3-3-3 希望を描く
僕たちは「自分が上がったステージまで」しか人を導くことができません。
自分が腰痛を克服していないのに、腰痛を直すことなんてできません。
ですので、まずは自分自身のステージを高めるべく、自分の身体を少しでも健康体へと近づけ、クライアントに希望を見出してもらえるような存在になることが重要です。
クライアントに歩けというのではなく、まず自分から率先して歩くことです。
そして、自分があがってきたステップをクライアントとシェアするような感覚で伝えていきます。
クライアントさんはなにもかも初めから一人ではできないので、整体師・セラピストが先に歩いてあげて、草をかきわけて、道を歩きやすくしてあげるのです。
4.痛みへのアプローチ
4-1.痛みの要因
痛みの発生の要因は、
1,姿勢の悪化(肉体的緊張)
2,心理的緊張
3,その他ストレス
があり、ストレスの閾値を変えたときに「痛み」が発生します。
痛みが発生する閾値は人それぞれ違うので、考えるべきはいかに肉体的緊張と、心理的緊張を下げるかにフォーカスします。
4-2.痛みを取る方法
根本的、刹那的「痛み」を取り除く方法は2種類しかありません。
1,ストレスの緩和
2,スキルの獲得
この2種類です。
現代医学ではいろんなアプローチはありますが、基本的に、温めたり、筋肉を緩めたりと「ストレスの緩和」にスポットが当てられています。
もう1つはスキルの獲得であり、このスキルとは、ストレスを逃がすスキルです。
例えば、腕を上げるときに、肩に引っかかりがあってストレスがかかったとします。
そのときに、むりやり腕をあげようとすると肩を痛めてしまいますが、肩に引っかかりを感じたときに、体幹部分を下方に下げると、肩にストレスはかからず腕が楽にあがります。
このように、ストレスがかからない身体の使い方のスキルは後天的に身につける事ができます。
5.ストレス緩和の弊害
ここでストレスの緩和について。痛みが出ているとき、辛い時、そんな時にストレスを緩和することは有効ですが、長い目で見た時に弊害もあります。
なぜ、弊害が起こるのかも考えてみましょう。
5-1 薬を使うと副作用が起こるのはなぜか?
「痛みの生理学」
https://washinjyuku.com/seitai-prolog/log2/
でも詳しく解説していますが、痛みが出ている時は、血管が拡張しているときです。
薬には、その痛みの症状を抑えるために、血管を収縮させ、血流を悪くするように交感神経が優位になるようなものもあります。
こうした短期的、一時的な対処療法に頼り切ってしまうと、自分の自然治癒力を発露させにくくなってしまいかねません。
また、薬に依存してしまうと、薬を飲み続けないといけない体質になり、薬を飲むことでしか解決されなくなります。
これでは、根本改善にはつながりません。
5-2 整体、体操の意図はなにか?
では、整体や体操などが根本改善につながるのか、というとそうではないというのが僕の見解です。
いくら整体をやっても、体操をやっても、結局は、クライアント自身の肉体的、心理的「癖」を変えない限り、ストレスが溜まる身体になってしまいます。
ですので、整体や体操も使って楽にしながら、ストレスを逃がすスキルも時期をみて伝えていくことが根本改善への道となります。
6.自然治癒力
腰痛が二度と起こらない理想のストーリーを歩んでもらうには、クライアント自身がその道を自分の足で歩けるように導いてあげることが、僕たちの役割だと思います。
そのためには、クライアント自身の本来持っている自然治癒力を発露させる身体を目指していきます。
その自然治癒力を発露させるためのポイントをいくつか上げておきます。
6-1 運動の習慣化(歩く)
腰痛を含め、痛みが辛い人にとって、一番辛い時は夜寝る時に寝られないということです。
運動を習慣化させる理由というのは色々ありますが、一番大きいのは「身体を疲れさせる」ということです。
歩くくらいの強度の運動を推奨していますが、運動を習慣化することで、適度に身体を疲れさせ、自律神経のバランスも整い、夜も寝やすくなり、身体の回復、自然治癒力も働きやすくなります。
6-2 ストレスを溜めないマインドセット
痛みとは感覚と感情であるということをお伝えしましたが、心理的ストレスも溜め込んでしまうと、不安や恐怖などから交感神経を刺激して痛みを誘発しやすくなります。
心理的なストレスを溜めないようにするためには、嫌なことは「ノー」とはっきりと断るようにするだとか、自分にとって害を及ぼすような人と関わらない、などの対処も必要です。
6-3 身体の使い方という「スキル」
ストレスを身体にかけず、ストレスを逃すスキルとして「身体の使い方」を学ぶことで、重たいものを楽に持ち上げられたり、立ったり、歩いたりの日常動作もスムーズに動けるようになります。
こちらの記事も参考にしてみてください。
【保存版】最強スキル「身体の使い方」とは?
https://washinjyuku.com/seitai-prolog/how_to_use_the_body/
6-4 一瞬でストレスを緩和するリラクゼーション法
整体や体操など以外にも、一瞬で楽になる方法も伝えいます。
例えば、寝る時に、何回か折った分厚目のタオルを、後頭部の下に置くだけで一気に頭がや全身の力が抜けて楽になります。
また、座っている時に、お尻の下に自分の手をひくだけでも、肩や背中の筋肉や筋膜が楽になります。
こうした、日常で使えるちょっとしたテクニックなど、あらゆる方法で身体を楽にすることを伝えるのが「賢者の役割」です。
7.究極のリラクゼーションとは
以上、クライアントが腰痛を改善していくための全体のストーリーを描く上で重要なポイントをお伝えしました。
もちろん、腰痛に限らず、この型をもとに他の悩みにも使えます。
どういう時に、人は幸福感を味わえるでしょうか?
それは、例えば、眠る、食べる、笑う、分かち合う、触れ合う、本心に触れる、気遣われる、不安が解消する、個別な欲求が満たされるなど、いろんな幸福があります。
施術を受けるだけが気持ちいいわけではないんです。
なので、僕たち整体師やセラピストは、整体だけにこだわることなく、その人の人生そのものが良くなるようなストーリーを描いてあげて、一緒にその理想未来を歩む同士として関わることができれば、
「自分の身体、自分のことをちゃんと理解してくれるのはこの人しかいない」
とクライアントにとって唯一無二の存在になることができると思います。
それでは、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
山崎