こんにちは、山崎です。
これからセラピストや整体師を志す人にとって、もちろん整体施術の技術を磨くことは大切なことです。
また、それを「業」として考える場合、技術だけでなく集客や整体院運営についても学ばなければなりません。
ですが、それ以前に大前提としてセラピスト業、整体師業を行う上での「心構え」という土台が備わっていないと、顧客を健康体へと導くための方向性を見失ってしまいかねません。
今回は、そんなセラピスト業、整体師業を行うための「心構え」について、比較的抽象度の高いことを中心にお伝えします。
具体的なことも大事ではありますが、具体にばかりこだわってしまうと、視野が狭くなってしまいます。
抽象度の高い方がより大切であり、抽象度の高いことを腑に落とすことで、セラピスト・整体師としてのステージもあがっていきます。
これからお伝えする「心構え」について、抽象度の高さを意識して読み進めてみてください。
目次
1,あなたはどんなセラピスト・整体師になりたいですか?
まず最初に、あなたがどんなセラピストになりたいか、どんな整体師になりたいのかのイメージをできるだけ詳細にしてみてください。
どんなセラピストや整体師になりたいかは人によって違うと思います。
例えば、技術面においてはどんな風になりたいですか?
お店を構えるとしたら、どんな空間にしたいですか?
顧客とどんな関係性を築きたいですか?
顧客を健康体へと導いたとき、どんな感謝の声をもらいたいですか?
「人は意識したものしか見えない」というように、細かいところまでイメージしていないと、情報が散らかって、頭の中はぼやっとしたままです。
目的地がないまま、闇雲に進んでもたちまち道を見失ってしまいます。
まずは自分がどうありたいか、目指す理想の未来を明確にするところからスタートしてみてください。
2,そもそも『整体』とはなにか?
2-1,そもそも『整体』とはなにか?
整体とは、そもそもなんでしょうか。
『整体とは、人間を「元気」にする(エネルギーを高める)技術』
と定義しています。
そして、人間を元気にする技術とは、他者を元気にすることを指すだけではなく、整体法を使って、セラピスト・整体師自身も「元気」になるべきであると考えています。
2-2,セラピスト・整体師の信念
顧客に整体院に来てもらい、整体を施せばそのときは元気になった気がします。
一時的に元気にすれば、整体の目的は達成されるのでしょうか?
一時的に元気にする技術も、一般的には「整体」と呼びますが、僕たちには信念を持って健康面で他者に貢献したいという想いがあります。
信念とは、誰もが本来備わっている「自然治癒力」を自らの力で発露できるということです。
例えば、犬や猫、その他の動物でも健康は自分で守ります。
しかし、人間は自分の身体のことにも関わらず、すぐに人に頼ろうとしてしまいます。
整体でもやってもらったから元気になった、というだけでは、しんどくなるたびに整体をやってもらわないといけないという依存体質になってしまいます。
人間も本来身体に備わっている自然治癒力を働かすことができれば、健康は保たれます。
セラピスト・整体師の役割は、顧客自身の自然治癒力を発露させ、自身の健康は自分で守るという自立の道へ導くことです。
2-3,病気を作る要因とは?
苦痛がある時、痛い時、ただ身体がしんどいというだけじゃなく、「このままこの痛みが続くんじゃないか」という不安など人間特有のマイナス感情が働きます。
この不安などのマイナス感情(不快情動)の働きが出ると、自律神経は交感神経に傾き、体内の血液は酸性に傾いて、自然治癒力が働きにくくなります。
本来の健康を取り戻すには、まず顧客に、自分の身体に「自然治癒力」が備わっているということを「自覚」してもらうことからスタートです。
本当は薬などに頼らずとも、自分の身体を自分の力で治すことができると信じることができたら、マイナス感情は起きず、「前向きかつ積極的な態度」で自身の健康と向き合ってもらうことができます。
そういう態度で臨むことで自然治癒力の発露を促すことができます。
3,医療と整体の身体の見方の違いとは?
現代医療では、その人の病気の「症状」を診ます。
例えば腰が痛い場合、腰の症状を治すのが医療です。
一方整体では、その人「個人」を診ます。
その人の症状や身体の状態はもちろん、その人の性格や考え方や体質、日常生活や仕事においてかかるストレスなど、包括した見方をします。
もし、腰が痛いという人がいれば、人の力を借りなくても丈夫になる方法や、知恵(自然治癒力の自覚、発揮)を提供し、自立を促すのが整体です。
つまり、整体とは、本来持っている自然治癒力を発露させ、その人の心構えや身体の使い方まで含めた「身体教育」です。
4,病気の時の『心構え』
4-1,自然治癒力の発露とは?
薬を飲むということは、治癒するための内分泌ホルモンの働きの代わりとなるものを外から摂取しているということです。
薬によって治すので、本来の力は使わずに眠ったままになってしまいます。
西洋的な発想だと、身体は壊れるものだとして扱うので、薬を取るという「足し算の発想」になってしまいます。
身体には本来自然治癒力が備わっているという東洋的な発想になれば、余計なことをしない「引き算の発想」になります。
この自然治癒力の働きを知ることで、自分の身体を信頼し、自然に身を委ねることができるようになります。
自然治癒力を発露させるには、自然治癒力は働くんだということを自覚し、足し算の発想から引き算の発想へと転換することがなにより大切です。
4-2,身体の反応が起こった時の心境
顧客が症状を訴えた時、どういった心境になりますか?
野口整体の野口晴哉先生はこのように言いました。
「痛い?」「それなら安心だ」
「熱が出た?」「それは結構なことだ」
「嘔吐した?」「胃袋さん、ご苦労」
「血が出た?」「やがて止まるよ」
これらの「反応」は全て自然であり、ホメオスタシス(恒常性)が働いたときの揺れ戻し反応です。
症状が出たからといって、それを焦って抑制するのではなく、セラピスト自身が身体に本来備わっている自然治癒力を信じることができればそれに合わせた対応をすることができます。
4-3,病気の時の心構え
日本にヨーガを普及させた中村天風先生の言葉に
「たとえ身に病があっても、心まで病ますまい」
という言葉があります。
病気になっとき、まさに字のごとく「気」まで病んでしまいます。
2-3でもお伝えしたように、マイナス感情が働くと、結果として病気は治癒の方向へ向かいません。
しんどい時にでも「自分でなんとかするぞ」という強い気持ちを持っておけば、それだけで不安要素は減らすことができます。
この精神状態を身につけると、自動的に自然治癒力は発露してくれます。
4-4,まさに病気である
医療では、病気の症状を診て、身体のパーツや特定の系統(筋骨格系・消化器系・循環器系)の問題だと判断をします。
整体師の視点では、腰痛、肩こり、その他の病気など特定の症状が発症していたとしても、症状がどうこうではなく、「病人」だと感じます。
ストレス学説を提唱した生理学者ハンス・セリエ博士は、特定症状以前に共通する身体の反応を発見し、「まさに病気である症候群」と表現しました。
人間そのものを観察していると、「なるべくして病気になった」と感じます。
このように、抽象度の高い視点を持って人間を観察することが重要です。
第5章では、こうした抽象度の高い人間の見方について見ていきます。
5,セラピストに必要な抽象度の高い見方とは?
5-1,抽象度の高い見方
整体では、人間の身体を症状やパーツとして見ず、「ストレス」や「エネルギー体」として見ます。
エネルギーというと非常に抽象度の高い見方になるので、一見ピンと来にくいかもしれません。
しかし、僕たちは日常生活を過ごす中でも、例えば、「これを食べるとエネルギーが湧く」「この人と一緒にいると疲れる(エネルギーが減る)」というようなことを身体で感じていると思います。
5-2,ストレスと脳の関係
ストレスとは、『外的圧力に対する内的圧力の応力』のことです。
言葉だとわかりにくいと思いますが、風船を指で押したときに、中から押し返そうとする力が働くのをイメージするとわかりやすいと思います。
この押し返す力がストレスであり、この反応は身体でも起こっています。
ストレスがかかっている時、脳の状態は「不快」になります。
この脳の状態が「不快」から「快」に変わると、人間のストレスは軽減され、エネルギーは停滞から循環へと移行します。
「不快」な状態の場合、いかに脳の状態を「快」の方向へ持っていくかが、ストレス解消の鍵になります。
しかし、実は、過度な満足感やわくわく感もエネルギー自体は下がってしまいます。
ですので、常に心の状態を平静に保っておくかが、健康体を構築するための大前提となります。
5-3,病気とエネルギーの循環
エネルギーの視点から見ると、病気とは、エネルギー(気)が滞っている状態です。
病気の状態から抜け出すためには、エネルギーを「循環」させることが必要です。
インプットとアウトプットの両方が大事と言われるように、エネルギーも溜め込むと循環が滞ってしまいます。
病気になるのは、あらゆる面で循環が足りないということになります。
このように「ストレス」や「エネルギー体」として観る視点を身につけることで、医者や他のセラピスト、整体師とは違う視点で観ることができるようになります。
6,顧客とのファーストコンタクト
整体院に初めて来る顧客は、「身体を触ってもらいたい」という依存的な態度で施術に挑むことがほとんどです。
これまでもお伝えしましたが、僕たちの役割は顧客自身の自然治癒力を発露させ、自分の健康を自分で守るための自立への道へと顧客を導くことです。
しかし、ファーストコンタクトの際、依存的な態度の顧客に対して、いきなり「自分で運動してください」とセラピスト側の正論を主張しても、話は通じません。
一般の人は整体をすれば健康になれるという固定観念を持っているので、それを利用して、施術を顧客との接点として捉え、身体を触ること(愛情)から身体教育をスタートさせます。
セラピストが触ることで、「ああ、ここが硬いんだな」「意外とここは柔らかいんだなあ」と顧客は自分の身体の状態を「自覚」し、問題の場所、課題の場所を知ることができます。
そして、自覚から徐々に工夫のステージ(自己実現)へと移行し成長の道を歩んでもらいます。
7,法律を遵守する
以上、セラピスト・整体師の「心構え」を踏まえた上で、第7章では、セラピスト・整体師として今後活動する上で、最低限知っておかなければならない法律についてお伝えします。
7-1,法律を遵守する
整体院を経営する上で、法律は遵守する必要があります。
日本は法治国家であり、自らの役割を超越した(表現を行った)場合、法律を犯すことになります。
医師法、あはき法、柔道整復師法などの法律は遵守しましょう。
特に、
1、「治す」「治せる」という表現は使わないこと。
2、特定の「症状」が改善できるという表現は使わないこと
これらのように誇大広告しないことを注意した上で、セラピスト業を行うようにしましょう。
7-2,その他の法律と倫理観
その他、インターネットでサービスを販売する場合には、「特定商取引に関する法律」があることを知り、対処すること。
これは、インターネットでサービスを販売する人に課せられた義務です。
また、侮辱罪、名誉毀損罪に当たらない表現を心がけましょう。
8,30年痛みと歩んだ山崎の過去
少し僕の話をさせてください。
僕の過去を振り返ると、痛みとともに歩んだ30年間でした。
6歳から28歳までは片頭痛に苦しみ、2週間に1度は薬を飲み、1ヶ月に1度は嘔吐していました。
高校生の頃には、腰椎椎間板ヘルニアと診断され10年間患いました。
他にも身体はあちこち痛みだらけで、おまけに運動音痴で悩まされていました。
それが今では、自身で片頭痛も克服し、腰痛もありません。
身体の使い方の実践研究により、運動音痴も解消されました。
こうした数々の苦痛の経験があるから、なんとかして同じ苦しみを味わっている人を救いたいと思うようになり、「変われるんだ」ということを伝えたくなりました。
こうした進化のストーリーに、人は共感して、自分もこんな進化したいという人が講座や整体院にも来てくれます。
何を伝えたいのかというと、関わる人の多くは僕の技術がすごいからというだけではなく、僕のストーリーや背景に共感して、学びに来てくれているということです。
今の時代は特に、どんな技術を持っているとかではなく、セラピスト・整体師が過去どんな経験をしてどんな苦しみを乗り越えてきて、どういう想いでその業を成しているのか。
その背景や、ストーリー、使命感に共感される時代なんです。
ですので、技術だけにとらわれず、抽象度の高い視点をもって業に臨むことが重要です。
参考記事:
https://washinjyuku.com/seitai-prolog/story/
9,まとめ〜セラピスト・整体師としての生き方〜
9-1, あなたが伝えたいことは何ですか?
これまでセラピスト・整体師の『心構え』についてお伝えしてきました。
冒頭にもお伝えしましたが、技術やマーケティングなどの方法論ではなく、セラピスト・整体師のあり方や、あなた自身の生き方を問う抽象度の高い内容だったかと思います。
これらを踏まえて、今あなたは顧客に何を伝えたいですか?
また、どんな「理想世界」を顧客と共有したいですか?
考えるきっかけになれば嬉しいです。
9-2,セラピスト・整体師業とは
最後に、セラピスト業・整体師業は、
『顧客に感動を提供し、喜んでもらえると「感謝」をいただける』仕事です。
お金は感謝の形です。
顧客からお金をもらおうとするのではなく、顧客に感動や喜びを提供することを第一義に考えておけば、お金はあとからついてきます。
もし、お金がもらえなかったとしたら、それは「価値提供」が足りなかったということです。
自分のことを押し付けても相手からは喜ばれません。
相手をよろこばせることを一義とし、顧客の喜びを自らの喜びとして、その対価として利益が得られます。
セラピストとして、整体師として、自分の使命を果たせる人が増えたらなによりです。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日はこのへんで。
山崎