『2800万人』
何の人数かわかりますか?
実はこれ、腰痛に悩む人の人数です。
2019年厚生労働省の調査によると、怪我や病気の自覚症状の中で、腰痛は男性の1位、女性の2位と、実に日本の人口の約1/4にあたる2800万人もの人が腰痛に悩まされています。
これだけ病院や接骨院や整体院があり、書籍や、ネットでの情報が出回っているにもも関わらず、腰痛の人が減らないのはなぜでしょうか?
今回の記事では、そんな疑問に迫りつつ、これまでの常識とは違ったアプローチで腰痛対策から、腰痛にならない体質づくりまで、具体的なエクササイズも交えて、日常でもすぐに実践できる内容をお届けします。
- 日頃から腰に痛みを感じる。
- 腰の筋肉が硬い。
- お腹周りの筋肉や皮膚が硬い。
- お尻が凝っている。
- 股関節につまりを感じる。
など慢性的に痛みを感じている方はもちろん、上記に当てはまる人、家族が腰痛で困っている人はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1:腰痛改善3ステップはこれだ!間違った腰痛の常識を壊そう!
腰痛で悩まれた経験のある方は、これまで腰痛に対してどんな対策を行われたでしょうか?
病院では、痛み止めの注射や痛み止めの薬や湿布、接骨院で電気治療や牽引やマッサージ、整体に通われたかもしれません。
また、医師から勧められてフィットネスクラブに通い、筋トレや腹筋背筋、ヨガやエクササイズなどをされたかもしれません。
これらの対策は、腰痛から逃れるためには有効な手段であり、実際にこれらで腰痛が改善した人もいると思います。
ですが、これらの対策はすべて”対症療法”であり、腰痛の”根本療法”ではありません。
一時的に腰痛から逃れるだけでなく、根本から腰痛を改善するためには、今回ご紹介する3つのステップを踏むことによって、一生腰痛にならない体質作りを目指す必要があります。
ステップ1 腰痛の正体を知る
ステップ2 楽な姿勢を獲得する
ステップ3 腰痛にならない体質を作る
この3つのステップを順を追ってお伝えしていきます。途中エクササイズもあるので、試しながら読み進めてみてください。
では、まずはステップ1腰痛の正体、真の原因とはどういったものなのでしょうか?
2:〈ステップ1〉腰痛の原因を知る 最先端 これが痛みのニューノーマル
腰痛の正体って一体なんだと思いますか?
長年腰痛でお悩みの方は、
「もしかしたら、一生改善しないんじゃないか・・・」
「大事な予定のときに動けなくなったらどうしよう・・・」
こんな不安な感情にかられたこともあると思います。
お化けが怖いのと同じように、腰痛も、正体がわからないから余計に怖くなります。
お化けの正体が、実は白い布をかぶった友達で、その正体がわかればそのお化けが怖いということはなくなります。
孫子の兵法で有名な「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」という格言があるように、まずは腰痛とは何なのかを知るところからスタートです。
2-1:腰痛の真犯人は”酸欠”である
結論から申し上げると、腰痛の真犯人、それは”酸欠”つまり、酸素不足があなたの腰痛を引き起こしているという事実を今回ぜひ知っていただきたいです。
「酸欠?」
と言われてもピンとこないかと思います。
よく、腰痛の原因と一般的にも言われているのが、
・背骨が歪んでいる
・椎間板が飛び出して神経にあたって痛い
など、構造上の問題と言われており、病院でレントゲンなどの検査を行うのもこうした骨に異常がないかをベースとして診察が行われます。
未だにこうした診断が行われていることに疑問を感じますが、慢性腰痛の痛みの原因は、構造上の問題ではありません。
もしこうした歪みや神経など構造上の問題だとしたら、生活している間、常に痛みが発生しているということになりますが、実際はお風呂に入ったら痛みは和らいだりするし、眠っている間は痛みを忘れていたります。
痛みを強く感じるときもあれば、和らぐとき、痛みを感じないときもあることは経験的におわかりいただけるかと思います。
国際的な痛みの研究の権威でもある「国際疼痛学会」の痛みの定義・改訂版(2020年IASP公式日本語訳)では、
「組織損傷が実際に起こった時あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」
と記されています。
ちょっと意味がわかりにくいと思いますが、超簡単にお伝えするなら、
1)タンスの角に小指をぶつけた時の「イタっ」という痛み(不快な感覚)と、
2)不安や恐怖、ネガティブな感情(不快な情動)
ということです。
特に慢性痛の場合、2)によって引き起こされる痛みがメインとなるのです。
心臓や呼吸、体の無意識をコントロールしている自律神経には交感神経と副交感神経があるのをご存知かと思います。
不快な情動 ➔ 自律神経が交感神経(緊張)に傾く ➔ 血管が収縮する ➔ 組織が酸素不足になる ➔ 酸素を送るために血管を広げる痛みの物質が発生
こうした順序で痛みは発生します。この酸欠になってしまうことが問題なんです。
「痛み」についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください。
〈参考〉
痛みの生理学|痛みの対処法
https://washinjyuku.com/seitai-prolog/log2/
〈参考〉動画でもチェック!
【最新版】痛みの定義〜病院に行っても痛みが取れない理由
2-2:筋トレは不要?鍛えるから”ゆるめる”へ
2-1で痛みの原因についてお伝えしました。少し難しかったかもしれませんが、最も重要なポイントは、身体を酸欠にならないようにするということです。
酸欠にならないようにするには、血管を常に広げておくということであり、自律神経で言うと、副交感神経側に傾けること、つまり、リラックスすることが大変重要になります。
お風呂に入ると一時的に痛みが和らぐのは、湯船でリラックスして体温もあがり血流も良くなるからなんですね。
医者から言われたとよく聞くのが、筋肉が弱って少なくなっているから、腹筋や背筋の筋肉を鍛えて増やしましょうという話です。
筋肉が少なかったり、弱っているから腰痛になるなら、男性よりも女性、大人よりも子供のほうが腰痛になるという理論になると思いますが、実際は違います。
筋肉が少ないことや弱いことが問題なのではなく、緊張して硬いことが問題なんです。
医者から言われたことを鵜呑みにして、腹筋背筋や、フィットネスクラブで筋トレをしているのに一向に良くならない、余計に痛みが増した。という話はよく聞く話です。
痛みを理解した上で、発想そのものを変えないと、よかれと思って取り組んでいることが実は逆効果になってしまうこともあります。
筋肉を鍛えるという発想ではなく、子供のように柔らかくてしなやかに、酸素が全身に行き渡るようにリラックスして”ゆるめる”という意識で運動も取り組んでください。
2-3:自宅で簡単!腰ゆるめエクササイズ①
ここで自宅で簡単にできる腰周りの筋肉をゆるめるエクササイズを2つご紹介したいと思います。
どちらも簡単なものなので、日常の隙間時間にぜひ取り入れてみてください。
まず1つ目は、腰を壁につけるエクササイズです。
床から踵を10cmほどあけて、壁に背中をつけます。
この時、腰痛の人は壁と腰に隙間ができるので1度チェックしてみてください。
そして、お腹の力を抜いて腰を壁につけます。
無理に力を入れてつけないようにしましょう。
朝歯を磨くときなど2,3分程度でも、しばらく続けると壁と腰の隙間がせまくなることがわかると思います。
このエクササイズによって、普段腰や背中に力を入れて姿勢を支えていたのが、壁にもたれることで休まってゆるみ、骨で姿勢を支えられるようになります。
2-4:自宅で簡単!腰ゆるめエクササイズ②
2つ目の腰をゆるめるエクササイズは膝抱えエクササイズです。
膝を抱えると、膝と股関節の距離が出て、肋骨と骨盤の隙間が生まれることで、腰の緊張が緩和されます。
日常生活を過ごしていると知らず知らずのうちに筋肉に緊張が入って固くなってそれが癖づいてしまっています。
筋肉が固くなると、ギュッと縮んでしまい、骨と骨の隙間がなくなり、余裕がない体になってしまいます。
当然、中を通っている血管は収縮しやすい状態なので、酸欠を引き起こしやすいです。
この膝抱えエクササイズでは、筋肉を伸ばすという意識ではなく、膝と股関節の距離を伸ばすことを意識してください。
反対側の足の膝は伸ばしますが、辛い場合は膝を曲げても大丈夫です。
1回につき2〜3分✕左右、朝昼晩3回隙間時間に行いましょう。
3:〈ステップ2〉 姿勢を変えて重たい腰にさようなら
これまで、ステップ1で腰痛の正体を探ってきました。
ここからはステップ2の楽な姿勢を獲得するに入ります。
根本的な腰痛の改善には、この姿勢の改善は必須になります。
何かに頼って一時的に楽になったとしても、腰痛になりやすい姿勢で日常を過ごしていては、またすぐに痛みが出てしまいます。
姿勢については、すでに気にされている方もいると思いますが、巷で言われている、例えば腹筋や背筋を鍛えて・・・というような姿勢の改善は本末転倒です。
ステップ1を踏まえると、酸欠が起こらない姿勢作りを意識することが極めて重要ですので、それを念頭に置きながら読み進めてもらえたらと思います。
3-1:姿勢を変え楽になるたった1つの秘密
食品添加物がいっぱい入ったカップラーメンを毎食毎日食べると、当然体は病気になってしまうだろうというのは簡単に想像がつきます。
これと同じように、間違った姿勢、つまり酸欠を引き起こす、力んだ姿勢で日々過ごしていると、やはり体は痛みを引き起こしやすくなるでしょう。
腰痛の人の特徴で多いのは、前かがみになっていることです。
ここで、1度チェックしてみてほしいのですが、立った状態でも座った状態でも構いませんので、両手で自分の腰の筋肉(背骨の横)を触ってみてください。
ガチっと硬くなっているのを感じられるでしょうか?
その腰の硬い筋肉こそ、酸欠を引き起こす間違った姿勢になっている証拠です。
普段意識しないので、ほとんど気がつくことはありませんが、私達の体は知らず知らずのうちに、筋肉を硬くして日常を過ごしてしまっているのです。
酸欠にならない、姿勢作りにおいて、最も重要なポイントをお伝えします。
それは、背骨を反らせることです。
子供は背骨を柔らかく使い、反らせるのも得意です。
老化の特徴はこの背骨が反らなくなることでもあります。
背骨が反る子供には、肩こりも腰痛もありません。
筋肉は柔らかく、たくさん動くことでストレスを発散させているのです。
背骨が反ると、積み木を積み上げるように、筋肉を使わなくても骨組みで支えられる最適なポジションで姿勢を作ることができます。
大人になるにつれ、日々の運動量は下がり、座り仕事が多くなり、姿勢が丸くなってしまいます。(その人の職業や生活習慣によりますが)
背骨の周りや腰の筋肉、またはお尻や太ももやふくらはぎの筋肉を必要以上に緊張させて、筋肉に負担がかかる姿勢で癖がついてしまいます。
- 腰回りがパンパンになっている。
- お腹もパンパンに張っている。
- 太ももの前、外側、内側、後ろが硬い。
- ふくらはぎが張っている。
- スネの外側が張っている。
と言った方は、背骨で体を支えられておらず、筋肉で支えて筋肉にストレスがかかっている状態です。
理想は、筋肉を休ませ、リラックスできるよう、背骨で支えられる姿勢を体に覚えさせることです。
3-2:姿勢を改善するおすすめエクササイズ
ここで、腰痛が根本的に楽になるエクササイズを1つご紹介します。
写真上のように、うつ伏せになり初めは肘をついて、状態を起こしてみてください。
この時点で腰に痛みが出るようなら無理をせず、2-3で紹介したエクササイズから試してみてください。
腰に痛みが出ないのを確認して、徐々に写真下の肘を伸ばすような姿勢にもチャレンジしてみてください。
腰は本来反るものですが、歳を取るにつれて反りにくくなります。背骨全体としても丸くなりやすいです。
子供の頃は誰もが得意であった、反る機能を取り戻すことで、筋肉に負担のかからない、骨で支える姿勢を獲得することができます。
こちらも1回2〜3分、朝昼晩3回行いましょう。
4:〈ステップ3〉 腰痛にならない体質作り7つの習慣
これまで、ステップ1 腰痛の正体を知る。ステップ2 楽な姿勢を獲得する。と見てきました。
最後のステップ3 腰痛にならない体質を作るでは、日常生活の中で取り入れられる習慣をお伝えします。
腰痛にならない体質作りというのは、ステップ2の楽な姿勢を獲得するということも含まれています。
また、歩き方や座り方や重たい荷物を持ったり、日常動作においても腰痛にならない身体の使い方を獲得することが大切です。
そして、腰痛にならない体質を作る上で、最も重要なことは、筋トレやストレッチ、また整体やマッサージといった、手段方法ではありません。
それは、自分の腰の筋肉が今硬いのか柔らかいのか。自分の姿勢が前かがみになっているのかどうか。お腹に力が入ってしまっているのか。
こういった、自身の体の状態が今どうなっているかチェックできる「内観力」がなによりも重要となります。
今、自分の体に何が起こっているのかしっかりと把握できれば、今どういう処置をすればよいのか自ずとわかるようになります。
今回痛みには、不安や恐怖、ネガティブな感情によっても引き起こされるということをお伝えしましたが、姿勢など肉体面だけに限らず、精神面、感情面も不快なことが習慣化してしまっていては、身体は良い方向に導けません。
心も体も不快な状態から快の状態へ。
身体そのものが本当に嬉しいもの、喜ぶものを日常から心がけ、選択することが痛みを根本から無くしていく上で必要なことになります。
- お風呂でリラックスする
- 美味しいものを食べる
- 好きな音楽を聴く
- 好きな香りを楽しむ
- 自然の景色を観る
- 好きな人に会う
- 趣味を楽しむ
今回は7つご紹介しましたが、ポイントは「五感」を刺激するということ。
身体が、美味しい、気持ちいい、心地よい、嬉しい、楽しい、清々しい。
と感じられることを普段から心がけることで、脳や身体はリラックスして身体全体に痛みの出ない好循環が生まれます。
身体が求めているものにぜひ耳を傾けてみてください。
5:まとめ
いかがでしたか?
今回、なかなか腰痛が改善しない方や、一時的に良くなってもまたぶり返してしまう方にとって、根本的に腰痛から解放される具体的なステップをご紹介しました。
- ステップ1 腰痛の正体を知る
- ステップ2 楽な姿勢を獲得する
- ステップ3 腰痛にならない体質を作る
今まで、何をすればよいかわからなかった。やっても効果がでなかった。
もやもやしていたことが、「なるほど、そうだったのか」と少しクリアになったのではないでしょうか。
- 痛みの正体は酸欠である
- 筋肉は鍛えるのではなく、ゆるめる
- 背骨を反る姿勢を作る
- 心と体を内観する
といったことを、踏まえて日常生活で意識したり、エクササイズも無理なく行ってみてください。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考文献:電子書籍「本当に腰痛を治す本!〜腰痛改善のヒントは武道にあった!〜」